マンションの管理費、修繕積立金は何の為に払うものなのか気になりますよね。
■管理費の目的
よく、“マンションは管理を買え”と言われます。これは、管理状態が良いマンションを買いましょうということです。
管理状態が良好なマンションは、
・行き届いた清掃による「清潔さ」
・優れた防犯性や定期的な設備等のメンテナンスによる「安心感」
・居住者のくらしに寄り添った管理スタッフの「ホスピタリティ」などを兼ね備えている
・将来、賃貸や売却する際にも良い影響を与えるため、資産価値の維持・向上にもつながる
などの点で、快適な生活を送ることができます。
管理費は、このような良好な住環境や資産価値を維持するため使われる不可欠な費用です。
■修繕積立金の目的
マンションの建物の耐久性は向上していますが、経年に伴い劣化は免れません。そこで、外壁や屋上といった建物本体、配管やエレベーターなどさまざまな付帯設備のメンテナンスは、快適な居住空間を維持していくためには非常に重要なポイントになります。
●修繕積立金で行う工事の種類
・10年~13年周期で行われる大規模修繕
(外壁補修、屋上防水、配管補修、共用廊下のシート貼り替え、バルコニーなどの鉄部塗装など)
・機械式駐車場などの設備の部品交換、防さび・塗装補修
・エレベーター等の部品交換、全面改修
・各部屋の排水管清掃
・大型改修(駐輪場の増設など)、補修(風水害等の災害による補修など)
修繕積立金は、上記のほか管理組合で、修繕積立金で支出するにふさわしいと判断されたものに対しても費用が使われることがあります。
なお、修繕積立金は基本的に管理組合が作成した長期修繕計画に従って計画的に使われていますが、不測の事故や災害など特別な事情により、修繕積立金を取り崩して使用する場合もあります。たとえば震災などの損壊により修繕積立金を取り崩すことなどがその例です。
計画外の多額の費用が生じる場合は管理組合の総会決議での決定を要します。
■管理費は費用対効果のチェックが重要
毎月支払うマンションの管理費は、安ければ安いほど良いのでしょうか?お財布事情としては、毎月の支出が少ないのはありがたい話です。しかし、マンションの管理費は提供されるサービスに比例するので、単に安さを求めるのではなく、「自分が求めるサービス内容と対価となる管理費がマッチしているか」という観点でチェックするのが良いでしょう。ハード面では共用施設、ソフト面ではサービスの量や質、その内容です。例えば、管理費が高くなっても24時間有人管理やコンシェルジュサービスに価値をおく人もいるでしょうし、管理員は、週に3回程度巡回する程度で十分だから管理費は抑えたい、という人もいるでしょう。また、マンションにジムが付いている場合、利用しない人にとっては管理費を押し上げるコストになりますが、わざわざ会費を払ってジムと契約している人にとっては、会費だけでなく往復の時間も節約できるうれしい共用施設となります。何が無駄となり、何に価値を置くかは人それぞれなので、自分がマンションにどんなサービスを求め、何にお金をかけたいか、しっかり吟味してマンション選びをすることが大切です。
なお、豪華な共用施設、とりわけプールや滝や水盤といった水を使ったものや、ホテルライクな人的サービスは管理費を押し上げがちなので頭に入れておきましょう。
■大規模マンションのほうが管理費、修繕積立金は割安な傾向
管理費は、マンションごとに異なります。各家庭のライフスタイルによって家計がさまざまなように、管理費もマンションで提供されるサービス内容や付帯設備の内容、グレードにより異なるのです。
先の調査結果をマンションの規模別に見ると、総戸数20戸以下のマンションの管理費の平均は254円/m2、総戸数501戸以上では214円/m2と差があるのがわかります。大規模なマンションでは、豪華なエントランスやシアタールームなど共用施設を充実させても、1世帯当たりの管理費は比較的抑えられるということです。
■管理費・修繕積立金は将来値上がりすることも
管理費や修繕積立金は、将来値上がりする可能性があることも想定しておく必要があります。
住人の高齢化とともに自動車を手放す方が増えれば、駐車料収入の減少分を管理費の増額によってバランスを調整するケースもあります。
また、修繕積立金は、当初の積立金を抑え、5年程度ごとに段階的に増額する「段階増額積立方式」を採用しているマンションが多いことから、将来値上がりするものだという認識も大切です。例えば、マンションを購入して10年ほど経つと、修繕積立金の改定の話が出てきたり、住宅ローン減税の恩恵が終了するため、急に家計負担が重くなりがちです。ちょうどそのころ、教育費のピークを迎える家庭も多く、余裕のない購入計画は危険性が高まります。
マンションの価格やローン借入額に比べると、管理費や修繕積立金は小さい金額と思いがちですが、“家を買ったら毎月2万~3万円くらい住居費がふえても頑張れる気がする!”というのは、おおむね気のせいです。管理費や修繕積立金は、ローンの完済後も住み続ける限り続く必要なお金ですから、老後も支払い可能な金額なのかも含めて確認し、無理のない購入計画を立てましょう。